
ザトウクジラの尾びれ
Photo by Shusuke Kubouchi
ドルフィンスイムボード
イルカ等の海洋哺乳類と人では体の形状が異なるのは当たり前ですが、具体的には手が胸ビレに進化しています。 また見過ごされやすいのですが、流線型の断面と共に体重の重心が前方にあることもポイントです。 人はフィンを履くことで効率よく水中移動が可能となりましたが、彼らに倣って前ビレを持つことで積極的にウェービングコントロールを行い、より効率的な水中移動が出来ると考えられます。是非新しい翼を体験して水中をイルカの様に飛んでみてください。

シャチの水中速度はイルカより速く、最大時速60㎞/h近くで泳ぐことが可能と言われています。 フルスピードで走るボートで発生した波をシャチが遊びで楽々と追いかけている時の映像をネットで見ることが出来ますが、呼吸の為に水面に出てウェーブしているものの基本的には水中では上半身は余り上下にブレずに安定しており、下半身だけが大きくストロークしています。 イルカも高速で水中移動が出来るスイマーであるわけですがシャチの追跡には速度で敵わないといわれています。 兼ねてからこのシャチの遊泳速度を可能としているものは何であろうかと考えていました。 一つには鍛えられた体幹の強い筋肉で生み出された下半身の大きなストロークが有ると考えられます。もう一つには、大きな面積の太い前ビレも要因なのではないだろうかと考えました。
さて、これとは別に高速で移動する魚類の代表としてマグロ属があり、突進速度は時速100㎞に達するともいわれます。マグロが高速で移動可能な要因もシャチと共通する部分があると思われます。がっちりとした赤身の普通筋と完璧な流線型、そして尾びれの高速振動によって上半身がブレることなく直進性が保たれていること。 こうした海洋生物の水中移動を分析しながら、人にとって最適な水中移動方法を模索してきた結果、新しいフィンが誕生しました。 更に詳しくご紹介します。
マンタフライヤー

マンタフライヤーは、イトマキエイやウミガメ、ペンギン、アシカ等の翼を動かして水中を飛翔する海洋生物の美しい動きに着目し、人がこれを応用できるような形状を求めて研究を進めて来ました。 これらの生物に共通する動きの要素(翼面積と体の水平面積比、上下角度、しなり)を分析し、人がこれらを再現することを可能とするサイズやブレードの柔らかさ、動かすときのホールドポイントなどを長年研究しました。 マンタの翼部分は、網状の軟骨から構成されており、複雑で効率的なしなりを生み出すことが出来ます。 ウミガメは、指先に膜がついたような翼となっており、これも理想的な柔らかさを生み出しています。人の腕をこれらに合わせる為には、リードする腕から伸びる延長部分や、後方に撓む素材が必要になります。また、外側と内側では上下の移動距離が異なる(中心から比例して)ことから、フィンのブレードは分割してしならせてやる必要があると考えました。 マンタもウミガメも体が比較的平らであり、翼を上下動する際の反作用を胴体部分の幅広い面積によって水を抑える作用を生じ、これによって上下の無駄な動きを打ち消すことが可能です。しかしながら人の体は断面では楕円となっており、翼の面積が大きいと上下動が発生してしまします。 よって腕から遠い位置で上下の移動距離が大きな部分をメインとして、ブレード面積を大きくし、しならせる構造としています。具体的な動かし方については、体験講座で御紹介致します。